今回美術部展には感想などを書けるスケッチブックとパネルを用意したのですが、スケッチブックの方にはたくさん書き込んで下さる方がいました。
美術部諸君(←これ菊地先生の真似)、よーく感想コメントを読むんだよ。
とっってもいいことがたくさん書かれていますよ。ただ「上手!」とか「すごい!」とかの言葉でいい気にならないで(もちろん一つの自信につなげるという意味ではいいけど)、もっと本質的な部分を読み取ってほしい。
例えばコメントの中に写実表現について書いて下さった方がいました。以前から言ってはいるけれど、写真を写実的に描いているだけでは自分の世界は表現できません。それは慣れれば誰でも出来るようになるし、写真を元にただ描いただけの作品ってのは、どうも薄っぺらく見えるんだよ。
ただ、上手く見えちゃうからねぇ…でもそれは本当に「上手い」絵ではないのです。(「上手い」って言葉は好きじゃないんだけどさ)
多分U21に出品されていた多くの作品を見ていたら、「あれ?なぜこんな上手い絵が賞に入ってないんだろう?」って思ったりしませんでしたか?きっとそういうことなんじゃないかな。
もっと様々な角度から、表現したい何かをどうすれば作品に込められるかをじっくり考えなくちゃあならない。その中で写実的な描写が必要になることもあるだろうし、もしかしたらもっと抽象的な表現になるのかもしれない。それは色で表現すべきなのか、かたちで表現すべきなのか、構図で表現すべきなのか、それとも、すべての要素を絡めて表現すべきなのか……。
その時に大切なのが、ものの本質を捉えて考えなくてはならないということ。本質を忘れてうわべだけの綺麗さを追いかけていっても、それは非常に軽薄なものになっちゃうわけ。
まずは対象の観察や考察をじっくり繰り返すこと。アウトラインとディテール(細部)の関係から内面を想像し、読み取り、それから導き出されるかたちに気付けなくてはならない。もしかしたら綺麗じゃないかもしれない。汚いかもしれない。ツルツルじゃないかもしれない。でも、そこにちゃんと気付けたなら、本質に一歩近づいたのかもしれない。
だから、デッサン力が大事なんです。デッサンは、上手に描くことだけが重要なんじゃない。例えば人物を描くなら、服の下で見えない部分の関節の位置、皮膚の下の筋肉、そしてその骨格をいかに意識し、かたちを描いていくかが重要なんです。
骨格とは、すなわち本質。本質を見抜くには、とにかく観察すること、そして想像力を思い切り働かせること。そこにドラマが見えないとならんのですよ。
それを繰り返していくうちにいずれ気付くんです。なーーんだ、本質を追究するってことは、デッサンの世界だけじゃなくて何事にも通じることなんだ、って。
ま、今日は人物クロッキーやってましたけどね。
ぬ、話がそれた。大きくそれた。
要するに、写実表現ばっかりに頼るんじゃなくて、もっと発想を広げましょう、自分が作品を通して伝えたいことの本質を意識しろってことです。安易に決めてしまうのではなく、自分ならではの目線で、自分にしか発見できないうつくしさやものごとを見つけだそう。
今年度の支部展の30号とU21の50号で大きく成長したことでしょう。今度は、もっと自分の世界を広げていくんだ。一歩、また一歩と歩を進めていって欲しいと思います。
市函の先生方も観に来て下さった方からいろいろ感想をいただきました。気付いてないかもしれないけど、君たちは本当に多くの方々から期待され、応援してくれているんだよ。
そういうことに気付いて、感謝できるようになるのが、大人への一歩なんだ。
期待に応えましょう。頑張りましょう!
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