11月11日土曜日の今日、札幌大谷大学さんに来校いただき、高校の美術部を応援・サポートする美術部応援プロジェクト「がんばれ!美術の時間」が本校を会場として開催されました。
このワークショップでは、油彩の基本を学ぶ講座、マチエール(作品表面の肌合いのこと)を活かした油彩の応用編講座、日本画の講座、プロジェクションマッピングの講座の計4つの講座が開講されました。
本校部員は1〜3年生の28名が参加、他の道南の美術部員は13名、合計41名がそれぞれの講座に参加し、普段なかなか体験できない大学の美術を学ぶことができました。皆とても楽しんで集中して取り組んでいて、実に充実した時間だったようです。
というわけで、本校部員の活動を中心に写真でご紹介していきます。
まずは油彩の応用編となる講座の様子から。
すでに用意してくださっていたシルクスクリーンの版を使い、名前のイニシャルの英字をモデリングペーストで転写します。
皆さんもうこの時点で普段やらないことなのでもうワクワクしながら作業していましたね。
こんな感じに仕上がっていました。これがこのあとどう変化していくのか…?
そして、参考資料がすごいクオリティ…!最初A4サイズのイラストボードのようなものに印刷されているのかと思いきや、実際にそこに描かれているということを知った時は驚きましたね…。小さいのに、このままF30くらいのサイズに拡大しても全然問題ないレベルの密度です。
このあとどうなっていくのかが楽しみです。
さて、こちらは日本画の講座。
顧問は日本画の水干絵具に興味があったので、こちらの写真はかなり多めになっています。
水干絵具。色がとても美しい…。。
この色を見ているだけで、何か描いてみたいと思わされるような美しさでした。
金箔を慎重に扱っています。鼻息でも吹き飛んでしまう、極薄の箔。
このあとキングは想定外の不器用っぷりが判明し……
「自分、不器用ですから…じぶん、ぶきようですから…」とずっとつぶやいていました(笑)
もう、楽しい、それしかないって感じです。
膠(にかわ)を塗り、箔を貼り付ける準備をしています。
貼り付けたら終わりなので、慎重に構図を決めようとするさよちん。
皆さん箔を貼り込んだら、扇風機で乾かします。
例えば、こんな感じ。
水干絵具を新聞で包んで擦り潰すんですが、どう包んでもはみ出しまくり、「自分、不器(略」とつぶやき続けるキング(笑)
平向先生の解説を真剣に聴く面々。
顔が本気です。目がキラキラしています。キングはなんかちょっと目が虚ろです。
なぜかおしゃないまで目線があやしい(笑)
練り終えた絵具たち。実に美しい…。
今回は学校のすぐ脇で拾った紅葉を題材に描きました。
さて、こちらはプロジェクションマッピングの様子。
いかんせん動いている映像の分野なので、写真が異様に少ないという…(笑)
ちなみに顧問は写真はよく撮るんですが、映像はからっきし。だけどVJの分野はすごく興味があって、いつかプロジェクションマッピングを授業に取り入れたいと考えていたので、実に興味深い話を聴くことが出来てとても勉強になり、また楽しかったです。
さて、油彩の基本編については、別フロアの美術室で行っていました。
こちらは割と見慣れた油彩画の風景です。江差の十河先生もサポートで一緒に入っています。
基礎的な形体のモチーフを描くという、油彩画の実践的な制作を行っています。
しかし、キャンバスを使うのではなく、厚紙に描いています。か、紙…??
テレピンを混ぜてすいすいと絵具を乗せていきます。ほう…紙でもいけるんだ…。
ガシガシ乗せていっていますね。
徐々に絵具がしっかりと食いつき始めてきました。
開始が10時頃、終了はだいたい14時半前。おおよそ3時間半弱で作品を作っていきます。生徒も必死。
皆さんシーンと静まり返って、脇目も振らず制作に励んでいました。うーむ、いい感じ…。
さて、また別会場に戻って、油彩画応用編の様子です。
だんだん制作が進んできました。すでにかなり面白い状態になっています。
かなりノリノリで制作を進めているようです。
今回の講座の内容は、U21の作品にかなり影響を及ぼしそうな気がしますね…。
テレピンをぱっぱっと指でふりかけていきます。
少し置いてからそこを刷毛でなぞると…?
テレピンが飛んだところの絵具が溶けて、不思議な模様が浮かんできます。この偶然の表情を利用してさらに描き込んだりしていくことで、平面なのに立体的な、筆だけでは表現できない表現が出来るというのです。これはすごい…。
モリの作品はモリの作品とすぐにわかるモリカラー。
すっごい楽しいっす…!!と夢中で制作に励んでいました。
紙やすりを使ってマチエールの出ている部分を削り出していくことで、これまた面白い表情が浮かんできます。
あれこれ考えながら描き込み等を進めていきます。
最終的には時間がやや足りなかったようですが、実にいい体験が出来たようです。
さて、日本画講座のほうはというと…
描いた部分をドライヤーで乾かしています。
かなり制作は順調に進んでいる様子。
箔が破れた部分も味として活かしています。
はらはらと散っている紅葉が表現されていますなぁ…。
だいたい描き上がったところで、小さい箔を散らしていきます。おしゃないのドヤ顔がまぶしい…(笑)楽しそうですなあ!
こちらは完成作品。こんな感じで初の日本画作品が仕上がっていったのでした。
油彩画基礎編の方も、いよいよ完成のようです。
短時間で描いたとは思えない作品がたくさん。本当に皆さん頑張って制作していたようです。
こんな感じです。
いやいやいい感じですなぁ。
そして、全体講評会が開催されました。
川口先生と十河先生のいい味を出しているコンビが次々に作品について講評していきました。
講評のときには顧問も後ろでずっと聴いていたのですが、とてもいい講評でした。皆さんちゃんと頭に刻み込んだかな…。
今回の油彩画基礎編はうちの美術部員の1年生が多数参加していたのですが、実に実践的でこれからに繋がる内容だったと思います。が、誰もメモを取らない…なぜだ…。ま、きっとメモを取るよりもきちんと話を聴いて自分の中に取り込もうとしていたんだと思います。制作が終わってすぐ講評会の準備でバタバタしてたしね。
例えば、「塗り」にしないで「描き」にする。ナイフは1年生の段階では描画には適しておらず、筆でしっかり描くことを勧める。写真は「資料」として必要であり、あくまで参考に。参考資料として撮るならものすごくたくさん撮るべし、たくさんたくさん撮って、どういうのが「良い構図」なのかに気付けるようにならなきゃならない。しつこく対象に迫ろうとすることが大切。説明的すぎないように。弱く、しっかり描く。絵具はケチらずどんどん使って乗せていくべき。指で伸ばすのは多用すべきではない。とにかく対象を観察すること。などなど…。
多分、顧問にもいつも言われていることもあったんじゃないでしょうかね。特に写真の使い方や構図の決め方についてなんて心当たりあるんじゃないかな。写真を撮ってそれを見ながら真似して描くのは、ただの模写であってそれなら写真に敵うわけがない。しつこく対象に迫るべき、って時には、写真をただ表面的になぞっても正直無理です。だから、極力自分でいいなと思ったことやものを資料としてたっくさん撮影し、その時に感じた雰囲気や空気、匂いや色を表現していかなくてはならない。
だから過去にスマホで撮った写真や昔の頃のスナップとかを描くのは僕は否定的なんです。何気なく撮ったものや誰かに撮ってもらったものでもいいものはあるかもしれない。けれど、それって「資料」として部分的に使ったりするのはアリかもだけど、それをまるまる描いてもさ。ましてや1枚しか無い写真を描くとか、よほど想像力豊かで経験を積んでいないと、正直写真を越えることなんて無理です。
今回「ものを観察して描く」という制作を通して感じたことや得たこと、学んだことがきっとたくさんあったかと思います。その経験をぜひ忘れないように。いろいろ見つかった課題を意識して、次の制作に活かしてほしいと思います。ぜひ聴いたことを忘れないうちに思い返してスケッチブックに書き留めておくことをおすすめします。
そんなこんなであっという間に始まってあっという間に終わってしまった、今回の札幌大谷大学の「がんばれ!美術の時間」。
正直こちらが予想していたよりもさらにいい経験が出来たのではないかと思います。いやもちろんいいものになるという予想はしていたんですが、ホントそれ以上に素晴らしいと感じるワークショップでした。今回の体験でなにか新しいことに目覚めた人もいたんじゃないでしょうかね。
今回それぞれの講座で学べたことは、もう出来る限り共有したい内容だったと思います。どうにかしてお互いで伝えていってほしい。
もしかしたらまた機会があるかもしれませんが、とってもいい経験だったと思うので、ただ参加したな~面白かったな〜で終わらないように。そして、今回このような講座を開催してくださった札幌大谷大学さんに感謝してほしいと思います。ホント、すごいことなんですよ…ありがたい…。。
この場をお借りしまして、札幌大谷大学の講師の皆様、ならびに関係者の皆様、お手伝いくださった顧問の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。無事開催できたことを心より嬉しく思います。また機会がありましたら、ぜひぜひよろしくお願いいたします。
また、平向先生には前日の研究授業の助言者としてもお世話になりました。お会い出来て講評をいただけてとても勉強になりました。お忙しい中本当にありがとうございました。
いやーーーそれにしてもマジで素晴らしかった。実におもしろかった。勉強になった。また来月くらいに開催してほしいなぁと、割と本気で思うくらい。
…研究授業はしばらくは遠慮したいですが…(笑)
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