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中島 健太氏来校レポート!


12月21日土曜日、画家の中島健太さんが本校美術部に訪問されました。そのときの様子をレポートします。

午前11時前ころに颯爽とやってきた中島さん。
美術室にて簡単に紹介した後に、講義室にて中島さんからいろいろなお話をしていただきました。部員の質問に答えるかたちでトークは進んでいきます。
そのときに話されていたことをざっくりまとめていたので、列挙していきたいと思います。

絵を描くときに大事にしていること

「絵を描くときに大切にしていることは、画家という立場では、売ることを考えなくてはならず、モノを作り続けることが日常になり、惰性になってしまいがち。だからこそ、今目の前にある絵を大切にできないとならない。しがみついてがむしゃらにやる、最後まで粘り強く取り組むことが大事で、うまくいかないと何でもすぐ諦める人になってしまう」

今描きたいと思えるものがないときはどうすればいいのか

「高校生の今自分が抱えている悩みというのは、多少は違えど基本的には同じような境遇、環境の中にいる人たちがぶつかる悩みであり、みんな似たような悩みを抱えている
自分の個性にとらわれる必要はない。本当に描きたい、と思えるものに出会えるのはもっと先だろう。画家は絵を売らなくてはならない。要するに売れる絵を描かなくてはならない。
だから、『描きたい』と思えるものに出会える人は幸運な人である。
本当に描きたいものっていうのはゴールがない。模写はマラソンと同じでゴールがある。一回走りきったことは経験、自信になる。誰かが描いた絵を模写してみることはとても勉強になるから、作家の作品を模写してみるといい」

道具にこだわりはあるのか

「画材は捨てた分だけ上手くなる、という言葉を学生時代に教授から言われたことがある。自分も安い画材を使うし、安くてもいいものもある。必要な絵の具だけではなく、使う可能性があるかもしれない、普段は使わない絵の具や筆も買ってみる。いろいろなことを試すことが大切」

最初に描いた油絵にまつわる思い出

「高1の頃に授業で描いた油絵は、F3号に描いたメロン。みんな微妙な反応で、その頃は才能はなかったなぁと…。でも美術は好きで、高3になって美術の道に進もうと決意した。
『なりたい』と思うか、『なる』と思うかは違う。本当に『なる』なら、自分でそう決めて行動に移すことが大事。本当になりたいと思うなら、行動はもう変わっているはず。
夢を持つのではなく、目標として持つ。高校生の今は何にでもチャレンジできる。皆が思っているほど世界は広くない

どうしたら自分の絵が好きになれるか

「自分の作品は好きにならなきゃダメ、でも満足してもダメ。まだ3年くらいじゃわからない。17年位描いているけど、これは、と思える作品は何枚あったか…。
今も満足はしていないけれど、できることはやったと納得できるようベストを尽くすことが大切。なにはどうあれ、自分の作品は自分でホメてあげよう

描きたくないときにどうやってモチベーションを上げるのか

「プロは仕事で描くので、描きたい描きたくないはない。
ただ、作品を制作する際には、進むタッチと壊すタッチがある。疲れている、やりたくないときに壊してしまうくらいなら描かないという選択もアリ。マイナスを戻すためにまた取り返さなくてはならない。
『描かない』という自分も肯定してあげるといい」

「写実」を描く意味は?

「練習したら上達するのが写実。もともと体育会系(高校時代はアメフト部)だから、たくさん練習するとその分上達するのが単純に嬉しかった。
写真と写実絵画を比較し、批判されることもあるが、手紙で例えるならパソコンで打った文章をプリントした手紙と手書きで書いた文章ではどちらが嬉しいかと考えると、やはり手書きのもの。
写実絵画は手紙のようなものだと考えている。それだけ時間をかけて見つめて描いたものには心がこもる。写真には写真のよさがあり、絵画には絵画のよさがあると思っている。
モナリザは1500年初頭に描かれた絵画で、500年も昔のことであるが、今も残り人々を魅了し続けている。絵画は、時間を超えるものだ」

約30分に渡る時間の中で、中島さんは画家としての視点で様々なことを語ってくださいました。画家という稼業を成り立たせるために様々な取り組みをしているのだなぁと改めてその大変さを考えさせられましたね…。
また、中島さんは一時期美術の教員になることも考えていたそうです。その動機が…ちょっと自分とかぶっていて笑ってしまいました。まぁ、ここには書けませんが^^;

その後は部員の現在制作中の作品についてひとりひとりアドバイスをしてくださいました。

なかなか本物の画家の方からアドバイスを頂くことなどないですからね…とても貴重な機会です。部員たちもその話される言葉に真剣に耳を傾けていました。

最後には部長からの謝辞的なもので締めくくり…

中島さんを囲んで記念撮影。

帰り際に、思っていた以上に熱心に制作していた姿が印象的だったとおっしゃっていました。この中からぜひ美術の道に進んでいく人が出ることが楽しみですね、とも話されていました。

本当に貴重な機会をありがとうございました。
美術部の部員たちにとって、実際に絵を描き続けて様々な場面で活躍されている中島さんはまさに憧れの象徴とも言えます。今回の訪問を受けて刺激を受けた部員も少なくありません。きっとそれはこれからの制作や取り組みに活きてくるのではないかと思います。

これからの活躍を心より応援しております。このたびは訪問ありがとうございました。